假名遣について  七、現代假名遣は効率的ではない

 ここまで、拙論にお付合ひ戴いた諸賢には既に自明のことだと思ふ。傳統に基かない言語表記。歴史を無視した言語論。全て本質的に無意味である。

 なるほど、あらゆることに改革は必要であらう。しかし、それとても過去を認めた上で、少しづつ行ふべきである。過去を全否定するところからは、如何なる建設的な方策も立案し得ない。歴史を知り文化を習得することは己を知ることである。己をも知らずしてどうして、行くべき道を探し得ようか。

 現代假名遣は、正しく使ひこなすことさへ困難なほど支離滅裂な代物である。新かなが効率に寄与するなぞといふ考へは單なる迷妄である。